【感想】『うたかたモザイク』【色んな味わい13話】

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感想

一穂ミチさんの『うたかたモザイク』の感想です。

あらすじ

『スモールワールズ』『光のとこにいてね』で話題の著者、一穂ミチのきらめきの欠片を集めた作品集。病める時も健やかなる時もーー。あなたの気持ちにぴったり寄り添ってくれる13の物語。甘くてスパイシーで苦くてしょっぱい、味わい深いあなただけの人生がここにある。書き下ろしショートストーリー「透子」も収録。

『うたかたモザイク』(一穂 ミチ)|講談社BOOK俱楽部より引用

感想

一つ一つの「うたかた」の場面が「モザイク」のように集まっているこの短編集。

甘々なラブコメからひりひりする読後感の話、ほろ苦い恋物語など、さまざまな味わいの物語があり、飽きませんでした。男女の恋愛もBLも百合もあり、ちょっとエッチな話もあり、ぞっとする話もあり、動物も人外もなんでもござれ。一話一話のタイトルや言葉選びが秀逸でした。

私のお気に入りは、「人魚」「droppin’drops」「ごしょうばん」です。

以下、それぞれのあらすじと感想。(以下のあらすじは管理人による作成です。引用はありません)

  • 「人魚」…「ぼく」がプロポーズをすると「私は人魚なの」と言い出した彼女に連れてこられたのは秘宝館。「ぼく」はそこで、彼女の言葉の意味と、秘密を知ることになる。

ああーよかったの一言。人魚だなんて、儚いイメージがあるから、「sweet」に収録はされてるものの悲恋の予感がしてました、が……! 主人公が彼女にもーぞっこんで……二人ともお幸せに! って感じです。

  • 「droppin’drops」…モデルの杏はクラスメイトで地下アイドルの糸保の熱烈なファンだが、それを言えずにいる。糸保が芸能界引退することを知った杏は、引退ライブに行こうとするも、失敗する。ある日、糸保がバス停で一人でいるのを見かけた杏は、ある場所に糸保を連れていく。

一穂さんの百合が見れるなんて……! 百合好きの管理人としては嬉しい限りでした。属してるグループが違うからか、気持ちとは裏腹につっけんどんな態度を取っちゃう杏と、素っ気ない糸保。杏がもう糸保のこと大好きすぎるので、想いよ、届け……! と祈りながら読みました。

  • 「ごしょうばん」…人々の生活にするりと溶け込み、人間や生き物に化けてごちそうにありつく妖怪、「ごしょうばん」。「ごしょうばん」は極限の状態にある人々が、それでも「せめて今日だけは」と誰かを想って振る舞う食事が大好き。ある日は寺の坊主に化けたが、特攻隊に行くこととなった寺の息子は「ごしょうばん」に気づいていて——。

上記二篇とは違って、心がひりつくような話。舞台が戦時中で、極限な暮らしをしている人々の様子や、それでも持ち寄られる思いやりを描くのがとても上手でした。最後はぞっとしますが、考えさせられます。飽食のこの時代に、わたしも思うところはあったので。でもごしょうばんの願い通りにはなってほしくないので、食べ物は大事にしたいと思います。

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