【感想】村雲菜月『もぬけの考察』を読んで

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感想

村雲菜月さんの『もぬけの考察』の感想です。

『もぬけの考察』あらすじ

第66回 群像新人文学賞受賞作!
この部屋の住人は、みんないなくなる? 都市の片隅にあるマンションの一室、408号室に入れ替わる住人たち――。奇想天外な物語が、日常にひそむ不安と恐怖を映し出す。

講談社BOOK倶楽部「もぬけの考察」より引用

感想

ひえー、この部屋絶対住みたくねえ!

読みながら、そして読んで第一に思ったことです。

描かれているのは、あるマンションの408号室に住む人や鳥が消える過程。管理人のずさんさや、この部屋で起こる出来事を見ると、同じ感想になるはずです。(あと、本筋とは関係ないかもしれませんが、生き物は大切にしよう、と改めて思わされます)

淡々としている文体で、部屋で起こっていることがあるがままに描かれています。登場人物たちは基本部屋にいますが、外出する人ももちろんいます。しかし視点は、部屋固定。外出先で起こってることは推測のように表現されています。あいまいなのが引っかかりながら、でも「うわあ」「ひえっ」と声が出そうな短編を三本読んだあとの、最終話で謎が解けました。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、この最終話で「ああ!」となります。もちろん他の三話と同じく不気味な展開ではあります。しかし、それ以上に、「ああーそういうこと!」となります。

この淡々とした描写も、部屋から視点が動かないのも、あいまいな表現の謎も、タイトルの意味も、すべてわかります。そして私たちは気づけば、この物語について、あそこのこういう文章はこういうことだったのか、と考察することになります。

100ページぐらいの短さですが、改行がほとんどなくて、ページの端から端まで文字がびっしり。難しい言葉も多めに使われていて、最初は読み切れる自信がなかったです。が、不気味な展開や濃い内容にページをめくる手が止まらず、2時間足らずで読了してしまいました。

寝る前に読むと、(特にアパートやマンション住みの方は)色んな意味で寝られなくなるでしょう。笑

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