おすすめの短編集をご紹介します。
『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央
取り扱い注意! 最恐ミステリ、誕生
第164回直木賞候補作
『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央 | 単行本-文藝春秋BOOKSより引用
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。
『許されようとは思いません』の芦沢央さんの作品です。
お金はおっかねえ……という言葉が非常によく合う一冊。
お金のせいで、日常が変わってしまう人たち。どれも、自分にいつ降りかかってもおかしくない話でした。
ほとんどの話の後味が悪く、こんな出会いがありませんように、と強く願わずにはいられません。
どんな方におすすめ?
・イヤミスが好きな方
・後味の悪い作品を読みたい方
価格:1500円 |
『すべての神様の十月』小路幸也
貧乏神、福の神、疫病神――。もしも人間の姿をした神様が身近にいたら……。「東京バンドワゴン」で人気の著者による心温まる連作集。
すべての神様の十月 | 小路幸也著 | 書籍 | PHP研究所より引用
『東京バンドワゴン』の小路幸也さんの作品。
悪い人が全然出ず、みんな優しいので安心して読めます。
福の神や死神、貧乏神と様々な神様が、人間界に溶け込んで生活している様子が書かれています。
神様が人間を決して「愚か」だとか「弱い」とか見下したりせずに、「どんなにピンチになっても這い上がる力がある」と肯定しているのが印象的です。
2021年には2巻が発売されています。
どんな方におすすめ?
・ファンタジーが好きな方
・神様を信じている方
・優しい世界がお好きな方
価格:748円 |
『天使と悪魔のシネマ』小野寺史宜
現場にやってくるのは天使か、悪魔か? 怖いのにちょっと笑える運命の舞台裏、天使と悪魔がつむぐ「ふつうの人たち」の物語。
天使と悪魔のシネマ|一般書|小説・文芸|本を探す|ポプラ社より引用
『ひと』の小野寺史宜さんによる作品です。
一文一文がとても短いので、読みやすいです。天使と悪魔が人間を介してバトルしているのが、ギリシャ神話っぽいです。
どんな方におすすめ?
・ファンタジーが好きな方
・映画が好きな方
・読みやすい小説を探している方
天使と悪魔のシネマ (一般書 325) [ 小野寺 史宜 ] 価格:1760円 |
『あつあつを召し上がれ』小川糸
この味を忘れることは、決してないだろう――。10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。幼い頃に、今は亡き母から伝授された、おいしいおみそ汁のつくり方。何年か前に家族みんなで並んでやっとありついた、天然氷でつくった富士山みたいなかき氷……。ときにはほろ苦く、ときには甘く優しく、身も心も温めてくれる、食卓をめぐる7つの感動の物語。
小川糸 『あつあつを召し上がれ』 | 新潮社より引用
『食堂かたつむり』の小川糸さんによる作品です。
小川糸さんの料理愛やこだわりが伝わってきます。悲しい話もありますが、全体的に、あつあつのご飯を食べたあとのようなほっこりした気分にさせてくれます。
どんな方におすすめ?
・料理が好きな方
・ほっこりした話を読みたい方
・短い小説を探している方
あつあつを召し上がれ (新潮文庫 新潮文庫) [ 小川 糸 ] 価格:539円 |
『ホテルローヤル』桜木紫乃
ホテルだけが知っている、やわらかな孤独
ホテルローヤル/桜木 紫乃 | 集英社 ― SHUEISHAより引用
湿原を背に建つ北国のラブホテル。訪れる客、経営者の家族、従業員はそれぞれに問題を抱えていた。閉塞感のある日常の中、男と女が心をも裸に互いを求める一瞬。そのかけがえなさを瑞々しく描く。
桜木紫乃さんの代表作で、直木賞受賞作。
話を追うごとに、どんどん時間がさかのぼるのが斬新です。前の話で出てきた人の過去を知れたり、だから前の話でこんなことをしてたんだ、となるのがおもしろいです。
このホテルはどうして寂れたのか、その理由を知ると、切なくなります。
ラブホが舞台ということで、エッチな描写が多いです。家でじっくり読むのがおすすめ。
どんな方におすすめ?
・性描写の多い作品を探している方
・直木賞受賞作をお探しの方
価格:605円 |
『海の見える理髪店』荻原浩
第155回直木賞受賞作
主の腕に惚れた大物俳優や政財界の名士が通いつめた伝説の床屋。ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた僕と店主との特別な時間が始まる「海の見える理髪店」。
海の見える理髪店/荻原 浩 | 集英社 ― SHUEISHAより引用
意識を押しつける画家の母から必死に逃れて十六年。理由あって懐かしい町に帰った私と母との思いもよらない再会を描く「いつか来た道」。
仕事ばかりの夫と口うるさい義母に反発。子連れで実家に帰った祥子のもとに、その晩から不思議なメールが届き始める「遠くから来た手紙」。
親の離婚で母の実家に連れられてきた茜は、家出をして海を目指す「空は今日もスカイ」。
父の形見を修理するために足を運んだ時計屋で、忘れていた父との思い出の断片が次々によみがえる「時のない時計」。
数年前に中学生の娘が急逝。悲嘆に暮れる日々を過ごしてきた夫婦が娘に代わり、成人式に替え玉出席しようと奮闘する「成人式」。
人生の可笑しさと切なさが沁みる、大人のための“泣ける”短編集。
荻原浩さんの代表作で、直木賞受賞作。
登場人物たちがみんな人間臭くて、愛おしい。全体的にあたたかい話です。
「空は今日もスカイ」は毛色が違って、胸が痛くなる話ですが、どうか希望があってほしいと思います。
どんな方におすすめ?
・家族の話をお探しの方
・あたたかい話をお探しの方
・直木賞受賞作をお探しの方
価格:693円 |
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