湊かなえさんの『白ゆき姫殺人事件』の感想です。
あらすじ
美人会社員が惨殺された不可解な殺人事件を巡り、 一人の女に疑惑の目が集まった。同僚、同級生、家族、 故郷の人々。疑惑の女の関係者たちがそれぞれ証言した 驚くべき内容とは。 ネットや週刊誌報道を中心に、無責任な「噂話」が 広まり、彼女の人物像はますます見えなくなっていく。 果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも――。 ヒットメーカーの湊かなえが描く、 意地悪目線がじわじわ怖い、最新ミステリ長編。
『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ|集英社より引用
感想
うわ怖い。下手なグロが出てくる話よりも怖いミステリーだわ。
証言者がどいつもこいつも、「知ってる知ってる!」って話を盛ってる。しかも殺人事件の容疑者となると、悪意がたっぷりと盛り付けられる。
ちょっとした行動が、仕草が、全部「やばいやつ」の裏打ちに置き換わる。なんなのこれ……。赤星も赤星で、都合のいいとこだけ抜き取って、話を曲解している。やってることは結局、噂話とかみんなが自己承認欲求を満たしたいがためにした盛り話を広げただけ。
親でさえ、娘をかばうよりも、相手を糾弾するのに娘を使ったり、浮気の罪を軽くするために娘を売る。
こうして、「真実」は見えなくなっていくんだなあと。我々の信じる、「真実」とはなんだろう。
ところで実際、こういう感じで報道された事件って、きっと少なくないのかなあと思う。そういえば昔、とある資産家が殺された際、ある女性が殺人犯の疑いをかけられていて、知人を名乗る人々が、「葬式のあとにステーキを食ってたぞ、やべえやべえ」とか「関わりたくない」って嘲笑しながら言ってたのを思い出した。
きっとあれも、豆粒ぐらいの話をバスケットボールぐらいの大きさにして言っていたのかもしれない。我々はその容疑者を、さもそういうことをしそうな人間だ、とみなしてしまう。本当のところがどうだったかはわからないけど。
けどもし私が証言者の立場になったら、やはり話を盛ってしまうのかもしれない。そんなバカな、って言えないから、この話は怖い。
犯人や動機は意外だった。けどそこもリアリティがあってなおさら怖い。赤星の末路も後味が悪い。そしてこれもリアル……。
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